イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

残り物の美学

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統計によると、生産される食材のなんと三分の一が捨てられているのだそうだ。

Food Sustainability index なるサイトは、25カ国を対象に食卓に上ることなく捨てられていく食材を調査した。

その結果、生産者から販売者に食材が届けられるあいだに傷んでしまったり、レストランやテイクアウトの食品を売る店で売れ残ったり、というのが食材がゴミ箱行になる主な理由であった。

 

イタリアも調査対象国に入っていたのだが、「食べ物を捨てない努力」をしていると評価された国のひとつでもあった。分別ゴミのシステムがイタリアでもようやく浸透しはじめて、なるべくならゴミを減らしたいという庶民たちのまっとうな思いも「食べ物を捨てない」ことに貢献したかもしれない。

それでも、一国民が一年に廃棄する食材の量は平均で110.5キロ。

ちなみに、食材を最も捨てる国はフランス、オーストラリア、そして南アフリカなのだそうだ。

イタリアでは幸いにして、残り物や冷蔵庫のなかで半分いたみかけている野菜などを使ったレシピがあちこちででまわっている。

極端になると、ニンジンの皮やアーティチョークの葉っぱまでなんとかして食べようというこんなサイトもある。

 

 

カラブリア出身でロンドンでシェフとして成功したフランチェスコ・マッゼイは、食物廃棄に絶対反対を唱えている料理人の一人だ。

バリッラ財団とトンプソン・ロイター財団が企画し、マッゼイを講師として招き、食材を捨てないということが料理人にとっていかに大事かを語る講演会も開かれたらしい。マッゼイによれば、料理人たるもの、第一に心がけなくてはいけないのが台所にある食材をひとつも無駄にしないこと、なのだそうだ。

とはいっても、買ってきた食材を冷蔵庫にぽんぽん入れて、奥に行ってしまった古い食材が忘れ去られることは日常茶飯事だ。

マッゼイは、料理したものも残ったからといって捨てずに、別の料理にアレンジして食べるべきだと主張している。

 

そのマッゼイが紹介したレシピには、こんなものがあった。

 

スズキの頭部をきれいにし、トマトソース、ニンニク、アンチョビと混ぜてフライパンで煮る。白ワインとプチトマトの切ったものも加えて、数分さらに火を通す。頭部を取り出したトマトソースをスパゲッティにからめる。

 

静岡育ちの私には、兜焼きというメニューは珍しくもない。

だから、「魚の頭部を混ぜたトマトソース」に身震いをする夫のことなどせせら笑ってしまう。

 

イタリアにいて、「買ってはみたもののおいしくなくて、残りは捨ててしまいました」という食材のひとつに、「カボチャ」がある。

日本のようにほくほくした食感がないこちらのカボチャは、日本風に煮込むと煮くずれて、繊維だけが残ってしまうのだ。味も淡泊というか、パンチがないというか、鮮やかなオレンジを理由にリゾットにしても、チーズを大量に振りかけなくては「味がない」一品になってしまう。

 

その「カボチャ」の残飯処理料理もマッゼイ氏は紹介していた。

オーブン焼きでもなんでもいいので、一度火が通ったカボチャをフライパンで炒めて水分を飛ばす。

つぶしたカボチャと、冷蔵庫のなかで使い道がなくて困っているチーズをなんでも何種類でもいいので混ぜて鉄板に伸ばす。その上に、パン粉をかける。それも、堅くなってかじることも不可能なパンを削るだけでよい。

オーブンで10分ほど焼けば、おいしく食べれるのだそうだ。これは、カボチャだけではなくジャガイモやズッキーニでもOKとのことだ。

 

ところで、先に挙げたバリッラ財団とトンプソン・ロイター財団は、食の安全、保存、農業、栄養、などに関して功績のあったジャーナリストやブロガーに、「Food Sustainability Media Award」を授与する、としている。エッセイなどの文章部門、ビデオ部門、写真部門の3つの部門で自信のある方、Food sustainability media award のサイトに応募してみてください。2017年5月30日が〆切り。

 

ちなみに我が家では、作りすぎて食べ飽きた野菜やパスタは、オムレツになることが多い。トマトソースのパスタは、なぜか作ったその日よりも次の日のほうがおいしくなる上、温めるためにフライパンで炒めてちょっと焦げ目ができるとさらにおいしい、というありがたい恩恵がある。日本のカレーと少し似ているかもしれない。

 

 

 

 

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