イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

神様仏様聖人様

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1511年にティツィアーノが描いた「聖母子像」太もも見せているのが聖ロッコ

もはや、毎日ハンコを押したような日々で引きこもり生活もプロとなりつつある。

今日もつらつらとtwitterを見ていたら、長年ネット上でおつきあいをしている方がこんなことを書いていた。

 

 そこで、はたと思いついた。

「聖コロナ」が伝染病患者の守護聖人というのはあまりにタイムリーで面白いけど、私もかつてイタリア各地で「疫病の守護聖人」なるものを見てきたな、と。

各地の教会に残る太ももをちらっと見せる聖人ロッコ(ロクス)がそれで、なにもティツィアーノやジョルジョーネのような大家ばかりではない、おそらく名も知られていない画家たちの素朴な聖ロッコが各地に残しているのである。その多くは、疫病による太ももの裂傷をこちらに見せるという、色っぽいような剽軽なような構図が多い。

しかしどこの町にいってもしじゅう目にする聖ロッコの姿はつまり、過去の人たちが疫病と戦い続けたあかしでもある。

 

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トラジメーノ湖のマジョーレ島でみた聖ロッコ

調べてみると、疫病の守護聖人にはそのほかに、聖アントニオ・アバーテ(大アントニオス)、聖セバスティアヌス、聖クリストフォロス、そして大天使ミカエルなどがいる。

ロッコはベスト患者を看病し自らも罹患してしまった聖人だし、体中に矢を射られた聖セバスティアヌスは、その傷が疫病の痕みたいだからという理由だそうだ。

大天使ミカエルは、怪物をやっつける武装姿の勇ましさが好まれたのだろう。

 

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クリヴェッリの大天使ミカエル。

本日の夕方は、法王さまが雨のサン・ピエトロ広場で疫病退散を願って祈りを捧げていた。夕刻のサン・ピエトロ広場に一人立つ法王さま、悲壮感があふれていた。

イタリアのコロナウィルス感染のピークはもうすぐといわれ毎日じりじりしているのに、今日の死亡者数は過去最高を記録してしまった。

実家の母は、数日前までは「もう家にいるのも飽き飽き。そろそろ友達と美味しいものを食べにいくわ」と勝手に終息宣言をしていたが、ここ数日の状況を鑑みてふたたび引きこもると言っている。

 

神様でも仏様でも聖人でも法王さまでも、もうなにもかもに祈るしかない。

 

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夕刻に見えた彼方の光