イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

フェーズ2への道

4月26日(日)

相変わらず風が冷たい日曜日である。

昨日、日本人学校のオンライン授業がたいそう気に入った娘は、先生から来た課題を広げてさっそく作文を書く。「今一番したいこと」というテーマで、娘は外を思いっきり走りたいと書いていた。

我が家にはプリンターもスキャナーもないので、娘はワードで縦書きの作文を作成。先生に手書きにしろといわれたら書き直せばいいや、と私もいい加減である。パソコンなんていずれは習得しなくてはいけないのだから、これもいい機会だと考えよう。読めばまちがいだらけなのだけど、これもご愛敬だ。

 

午後は「紅の豚」をイタリア語で鑑賞。

この映画の舞台がイタリアとは知らなかった。「魔女の宅急便」のあとに制作された「紅の豚」は、宮崎監督もノリに乗っているときの作品だったに違いない。伸びやかな作画が、日曜の午後にふさわしい映画だった。

その後は、夫が仕事を始めてしまったので、娘とシフォンケーキを作る。ダークチョコレートが効きすぎて、ちょっと甘さが足りない出来になってしまったけど。

 

遅いお夕飯を食べながら、コンテ首相のアナウンスを聞く。

5月4日からは、製造業などが開始される。親戚を訪問するのは可、しかし一族郎党が集まることは不可(こんなことがイタリア人にできるのだろうか)。

州越えの移動は不可、移動の際は新バージョンの自己申告書を携帯する。

公園はそれぞれの市長の裁量で開放する。しかし、いずれもソーシャルディスタンスは厳守。単独のスポーツも、ソーシャルディスタンスを守ることを条件に許可。

レストランは、テイクアウトのみOK。

美術館は5月18日より始動。美容院、エステ、バールなどは6月1日より。

学校は9月から。

 

といったところ。

ピークは過ぎた。死者も感染者数も減った。

しかし、今日も200人余が亡くなり感染者数も多い。なにやら抜き足差し足といった趣のフェーズ2への道も、まだまだコロナが怖いという本心が垣間見える。ソーシャルディスタンスを守るといっても、どこまで状況がそれを許してくれるかは神のみぞ知るだ。

コロナに打ち勝ったのではない、コロナとの共存を模索しなくてはいけない。

それが、コンテ首相の真意なのだろう。

崖っぷちにあるイタリア経済には、もうこのあたりが限度というのが本音だと思う。

 

散歩ができるようになるくらいが、私たちの生活には唯一の変化となる。

夫もしばらくは在宅で働くだろうし、娘の学校もオンラインでの体制を整えてきた。

親戚訪問が可能になったから、姑が来たりはするだろうけど。

 

いよいよ現実と向き合う時期が来ているのだけど、それは決して明るい未来を見ることではない。むしろ、苛酷な現実に打ちのめされることのほうが多いことは覚悟しなくてはいけない。

2カ月も家に引きこもった私は、実は外に出るのが怖い。

現実からは顔をそむけて、このままぬくぬくと家に籠っていたいという思いもどこかにある。

細い細い月を眺めながら、封鎖最後の1週間に思いをはせる。

 

 

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