イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

夏の味覚がそぐわぬこのごろ

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6月18日(木)

封鎖中の記録として書いていたブログは、すっかり間遠になってしまった。

マスクやソーシャルディスタンスという新しい慣習は定着したものの、生活はだんだんと元に戻っている。夫は相変わらず在宅で仕事をしているけれど、娘は新体操のレッスンに加えて、サマースクールのようなものに通い始めた。

イタリアの学校は6月初頭に終わってしまうので、働く親のために子供を預かってくれるこうした活動が多い。私の仕事は在宅だから、娘をこのサマースクールに入れたことは今まで一度もなかった。

しかし、今年は3月から家に籠りきり、友達と会うこともままならずエネルギーを持て余していた娘。夏休みの宿題となるワークブックもまだ届かないので、家にいるともっぱら日本にいる祖母に電話したり、外で1人でボール遊びをしたり、日本人学校の宿題をしたり、暇になるとついついyoutubeに手が伸びてしまう。

というわけで、今年はサマースクールに送り込むことにした。

最初は乗り気ではなくて、「1週間行っていやだったらそれでやめるから」と言いながら月曜日にサマースクールデビューした。担当の先生(というか、アルバイトの若者なのだけど)に子供が5人。今年はソーシャルディスタンスの関係で、グループ分けが細かいのだそうだ。知っているお友達もいないし、なんて消極的だったのに、ふたを開けてみれば初日から絶好調。

「ママ!そんなところ、行きたくない、なんて言わなくてほんとによかった~!!」

と大いに楽しんでいる。ほぼ1日中、外で体を動かしているので、蚊よけのスプレーと日焼け止めが必須。それに、マスクと消毒用の液体、着替え、おやつ、水筒をリュックに詰め込んで、毎日いそいそと出かけていく。

私と夫はそれぞれコンピュータに向かって、会話も少なく仕事にいそしんでいる。

封鎖中は真夏のような天気が続いたのに、ロックダウン解除とともに気温が下がってしまった。娘が通うサマースクールは山を下りたところにあるから、昼間はとても暑いらしい。しかし、自宅にいると午前中は上着なしでは寒くていられない。

せっかく買ってきた桃、メロン、イチジクなどの夏の味も、それを食べれば体を冷やすというのは本当で、ぶるぶると寒気が襲ってくる。めずらしく、日本のそれに似た細身のキュウリを市場で買って、味噌をつけてバリバリと食べたのだけど、これもなんだか寒々しい。

娘の送り迎えで山から下りると大汗をかき、自宅に戻ると山風に震え上がるという日々だ。

それでも、1日中体を動かしているせいで、娘の生活のリズムもだいぶ戻ってきた。コロナの感染者もイタリアはまだまだ多いのだけど、そのほとんどがロンバルディア州に集中している。まったく、摩訶不思議なウィルスである。

 

そういえば、赤毛のアンはシリーズをすべて制覇して、最近は同じくモンゴメリの「パットお嬢さん」を読んでいる。翻訳者の村岡花子さんは、どんな事情があったのか2巻目にあたる「パットお嬢さん」は訳してくれたのに、1巻目の「銀の森のパット」は訳さずに終わってしまった。青春時代から、私はこの欠如をいつも嘆いていたものだ。

最近、新しい訳で出版されたらしいのだが、その評判は散々なのだ。それで、1980年に田中とき子という人が訳した「銀の森のパット」を古本で探しまくった。彼女の訳だけが、モンゴメリファンのあいだで好評であったからだ。

無事にこの本を発見し、大枚をはたいて実家に送る手配をした。日本に帰国する楽しみが、また増えたというものである。

気がつけば今年も半分が過ぎていく。後半戦は、どんな世界が待っているのだろう。