昨今よく売れるもの それは小麦粉
3月18日(水)
今朝、目を覚ましたら日本人学校のママ友からメッセージが入っていた。
「わたし、落ち込みMAX。電話していい?」
ほんわかとした雰囲気ながら芯が強いこの友人の泣き言にびっくりして、朝のバタバタがかたずいたあと、電話。
くだらないおしゃべりをして、おたがい落ち着く。
その電話を切ったとたん、また別の日本人学校の親友からメール。
「今日は朝から精神的にかなりブルーだわ」
この親友とも、午後に雑談を楽しんだ。
その間、また別の(これまた日本人)の友人から泣き言が入る。
今日は、日本人学校関係のママたち撃沈の1日のようだ。
封鎖はすでに2週間目、大人も子供もそろそろストレスが限界なのかもしれない。
毎日のようにチャットでメッセージは交換はしているのだけど、やはり時間をとって誰かと話すというのは気が晴れるものだ。
毎日毎日ネガティブなニュースばかりで気が滅入るので、今日はちょっと目先の変わった話題に触れてみる。
昨日、紙面の片隅には「昨今最もよく売れているもの。それは小麦粉」という記事があった。常よりも80%増の売り上げを記録しているというのだ。
www.dissapore.comイタリアの封鎖や外食産業の閉業のあと、イタリア人はご多分に漏れずトイレットペーパーやパスタを買いあさった。
それにもうひとつ、売り切れが続出しているのが「小麦粉」なのである。
家にこもるとなると、食べることばかり考えるのは人間の性(さが)なのであろうか。
普段は時間がなくて作ることのない手の込んだ料理を、イタリア人は封鎖中にしきりに作っているらしいのである。普段は作らないパンやパスタまで家で作っているというのだから手がこんでいる。
これはなにもイタリア人だけではないらしく、twitterで知り合ったイタリア在住日本人の方たちも、「小麦粉練って手が疲れる」なんてつぶやきをのせている。
もちろん、著名なシェフたちも負けじとネットに彼らのレシピを載せているのである。
一般人はいわずもがな、せっせと作った料理をソーシャルに上げている。
#iorestoacasa, soprattutto in cucina 🤭 pic.twitter.com/6oJwKAZHzX
— Nicola Biccari (@BiccariNicola) 2020年3月13日
Verde bianco e rosso. #iorestoacasa, anzi io resto in cucina. ❤️🇮🇹 pic.twitter.com/9RNxP80b6m
— Ivo Tarantino (@ivo_tarantino) 2020年3月11日
ここ数日、イタリア政府による「外出」の規定はますます厳しくなってきた。
とにかく「家にいろ」を連呼されるため、腐る心配もない小麦粉を大量に買い込んで自宅で美味しいものを作るイタリア人が多いのだろう。
こんな風潮を見て、イタリア人はまたジョークを飛ばす。
「われわれはコロナ新型肺炎による移動制限中の真っただ中にいるのであって、決して全イタリア人マスターシェフ月間中にあるのではない」
一方で、賞味期限が短い牛乳やフレッシュチーズの売上がガタ落ちとも書いてあった。毎週メルカートであっていたチーズ職人のアントニオおじさん、どうしているだろうか…。
わが夫も、常とは異なるものを作り始めた。
私は、遺伝的にコレステロールが高い。そこで昨日、夫は買い物ついでに「エンバク」なるものを買ってきた。イタリアでは「Avena」と呼ばれる穀物である。これは、コレステロールを下げるのに大変な威力を発揮する食材なのだそうだ。
それを、朝からポリッジにして、「食べろ」と厳命された。
うーん、特別美味しいものではなかったが、これもまた歴史に残るコロナ惨禍の思い出となるのだろう。
それにしても、「笑い」と「美味しいもの」でこの危機を乗り越えようとするイタリア人は、やはり頼もしいと思った次第である。