春来り されどあてどなき日々
3月21日(土)
今日は春分の日。
うららかな気分とは程遠い春のはじまりで、本日の死者793人。
その数字の向こうに、どれだけの慟哭があるのか想像するのもつらい。
REPには、母を失った女性の記事があった。
感染病ゆえ、亡くなった母がいつどこに埋葬されたかわからない。せめて、母の棺に縋りついて泣きたかったのに、赤い薔薇を捧げたかったのに、それもかなわないという内容であった。コロナウィルスで亡くなった人は、かつてのペストやコレラと同様、遺体は速やかに事務的に埋葬されてしまうのだそうだ。まったく、人間はペストが流行した中世から進歩などできていないのである。
なぜ、北イタリアだけこうも突出して死亡者数が多いのか、日本語の記事も少なくない。そのなぜに迫る記事が同じくラ・レプッブリカ紙にもあったけれど、専門家も必死に研究中で現在のところは謎となっている。北イタリアに工業や酪農業が集中していることに関係があるかもしれない、ということにとどまっていた。
北イタリアはもう一刻の猶予もないということで、今夕、オフィスや製造業もストップ、屋外でのスポーツが一切禁止されることも決定された。今までは人との距離を置けば運動することまでは禁止されていたけれど、それさえも「まかりならん」、というわけだ。
そして、今日のニュースでは唯一の朗報として、政府が募集した医師300人枠に3500人の応募があり、すでに1500人が北イタリアのベルガモやブレシアに送り込またそうだ。
さいわい、我が家は変わりない。
平日は仕事で忙しくしている夫も、週末はお休みである。朝からラグーを煮込み、花の植替えをしていた。
娘も「土曜日は私も休み」と決めて、パパのお手伝いをしている。
私は週末になると落ち込むものだから、物理的に体を動かしたほうがよいと思い大掃除。
奇しくも、本日3月21日はティラミス・デーであった。
といってもその歴史は浅く、2017年にトリエステのイータリーがイニシアティブをとって定められたのだという。「私を元気づけて」と名づけられてこのお菓子は、今年はあまりににタイムリー過ぎる記念日でつらい。
イタリア人が愛するティラミス、春の訪れの喜びとともに無邪気に食べられる日が戻りますように。
P.S. コンテ首相、夜半11時過ぎに会見。必要最低限の物資を除き、すべての生産活動を4月3日まで停止。「最後の切り札」とか「捨て身」とか「背に腹は代えられない」などなどが、こちらに住む日本人の感想。
イタリアよ、なんとかもちこたえよう!