共和国建国記念日のヴィッラ・デステ
6月2日(火)
共和国記念日の今日、人込みを避けてどこに行こうかと夫と相談した。
そして向かった先は、ティボリ。この地には、ヴィッラ・デステ、ヴィッラ・アドリアーナ、ヴィッラ・グレゴリアーナと3つの見どころがある。どこかには入れるんじゃないかと期待したわけだ。
予約が必要なのかと数日前に問い合わせをしたが、人数制限はしているけれど予約は受け付けていないという返事。
外国人観光客がいないため、検温やチケット購入のために列に並んだだけですぐにヴィッラ・デステに入ることができた。
ここに来るのは3回目。
幸いにも午前中は晴れていて、青い空に新緑と噴水の水しぶきが美しかった。
庭園には、水力か何かで奏でるパイプオルガンを設置したグロッタがある。過去には1度もこのパイプオルガンを聞くことができなかった。今日はだから、あらかじめ音が出る時間を確認。
この写真の一番奥、高いところにある建物でパイプオルガンが鳴る。
今日は、無事に聞くことができた。人間が弾いているわけではないから、ちょっと機械的な音ではあったけれど。
フェデリーコ・ズッカリをはじめとする16世紀の画家たちのフレスコ画で埋め尽くされた宮殿内。
イタリアは、世界で一番たくさんのユネスコの文化遺産を抱えている。わあっと一気に外に出始めても、分散できるのが強みかもしれない。
ティヴォリの町も閑散としていたけれど、一部のお土産屋さんとレストランは店を開けていた。
そのなかでも、特にこぎれいなレストランに入りローマ料理を食べた(写真を撮る趣味がなくてすみません)。ああ、外食。封鎖中、おうちごはんはいいものだと思っていたが、お金を出してプロが作る料理を食べるのはやはり素敵だ。
レストランでも、検温とサインがいる。人々は素直に従って、問題はいっさい起きていない。
つくづくこの国は、非常事態に強いのではないかと思う。
日本やドイツのように通常の状態が上々だと、まさかの事態が起きた時に固まってしまうのではないだろうか。
イタリアは、普段は規則なんてあってないような国だから、こんな事態になって誰も規則なんて決めてくれなくても、一部の人の善意や勇気で勝手に動き出すという蛮勇の国なのだ。
現実を醒めた目で見ることができるのも、場合にはメリットになったと思う。普段からイタリア人は、外国人にからかわれる自らの国民性をよく自覚しているのだから。
とはいっても、世界遺産にも認定されているヴィッラ・デステとその周辺の静けさは、やはり今が平穏時ではないことをじゅうぶんに感じさせる異様さであった。
イタリアが有する文化や美術を精神の糧にして、この時代を生きていくのだ!と思った本日である。