イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

悪疫退散!を祈る

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怪物退治をする聖ミケーレ ロレンツェッティ展にて

 毎朝、起きると状況が劇的に良くなっていることを祈りつつニュースを広げる。しかし、今のところ朗報はなし。

イタリアは、ここ数日でパニック状態になっている。

北イタリアで、あっというまに100人を超すコロナウィルスの感染者が出た。

数日前までは、コロナウィルスのニュースは新聞の2番手か3番手に載る記事であったのに、昨日からものすごい量の記事で紙面は埋め尽くされている。

ヴェネツィアのカーニバル中止、歴史的建造物及び美術館は閉館、学校は休校、遠足や修学旅行中止、日曜日のミサもネットを通じて、エトセトラエトセトラ。

ローマ近郊ではまだこの手のニュースはないが、クラスのチャットではフェイクニュースが入り乱れてヘンな興奮状態にある。

夫のミラノ出張も、早々に上からの厳命でキャンセルとなった。

私も、人のことは言っていられてない。

もともとパニック発作もちだから、人ごみの中で「この中にコロナウィルスがあるのかも」と思うだけで血の気が引いてしまうのだ。昨日は、町でカーニヴァルのお祭りがあって家族で出かけたのだが、こんな心理状態だから私は楽しめるはずもなかった。

悪疫が対岸の火事であれば後ろめたさなどを感じて感傷的にもなっていられたが、身近に迫ってくると恐怖におびえているのだから自分でも情けない。それに、私はアジア人だ。事態が深刻化するにつれて、人々の憎悪がこちらに向いてこないかという思いからも逃れられないでいる。

いっぽう、娘と夫は泰然としている。

娘は、コロナウィルスに関するニュースを見ても深刻度がわからないのだから当然である。まあ、子どもは無邪気な方がいい。手洗いとうがいだけは徹底させているけど。

夫はというと、「あまりドラマチックに考えるな」で一貫している。

じたばたしても始まらないのだからいつも通りにしていればいい、とか言い張って、昨日も楽しそうに料理をしていた。ニュースを見て、私も食べ物の買い置きをと浮足立ったのだが、夫に留められた。

後手後手に回る日本の政府の政策が批判されているのをネットで読んでいる私は、イタリア政府の迅速な動きが頼もしい。しかし、それさえも夫には大げさに映るらしい。

正否はともかく、私とは正反対の生来の楽観主義者が家の中にいるのは、こんな場合にはありがたい。

頬を寄せ合うイタリア式の挨拶もここ数日はへっぴり腰になっているけれど、肝を据えて1週間を過ごそう。