イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

小人閑居して不善をなす

4月20日(月)

今日はラツィオ州も書店が再開した。

もちろん、手袋とマスクは着用必須、書籍についてはあらかじめ問い合わせをしたうえで来店するのが望ましいとある。

それでも、書店主たちは「書籍が生活必需品であると政府が認めてくれたことはめでたい」としている。

わが町には歩いていける距離に書店はない。書店は再開しても長居はままならないようだから、書店の中をふらふらするのが好きな私は訪れる理由がない。家の中に積み上げられた本で我慢しよう。

コロナの感染流行が長引いて、もう世界中が焦燥感に駆られている感じがする。

ひと段落したのならば、とにかく外に出たい、店を開きたい。みんなそう思っている。

それはどの国の政府も同じだろう。ただし、ここまで頑張ったのにまた感染が拡大するのは困るから、次の段階に移る踏ん切りをつけるのが難しいといったところ。

GUCCIの工場も、今日再開したと伝えられた。

 

我が家は、今日は夫が重要な会議とプレゼンを抱えて朝からピリピリ。

ぼさぼさに伸びた髪や髭をなんとか形にして、上半身だけはシャツを着て、狭い家の中でバタバタしていた。

折あしく今日は雨。

外で遊ぶこともままならず、夫のイライラに付き合わされた私と娘である。

ろくでもない人間は暇になるとろくでもないことをするというが、今日みたいに天気も家の中の雰囲気も暗い日は、小人の私はろくなことを考えない。これも「不善」のひとつなのかもしれない。

唯一救いであるのは、オンライン会議に登場する人びとの声が生気に満ちていることだ。お互いを気遣う挨拶は欠かさないものの、仕事に対する熱意は声からだけでも感じ取れる。私は1人の仕事だから、こういう時は同じ言語で語り合える仲間がいるのはうらやましい。

 

いっぽう、娘にはパソコンの日本語入力を教え始めた。

彼女はYoutubeを見る時の検索くらいは日本語で打てるのだけど、文章を書くとなるとまだまだ課題あり。

日本人学校の仲良しちゃんと新しい担任の先生に日本語でメールを書きたいと言い出して、これ幸いと練習させた。娘用に買ったPCは子供用だしイタリア仕様だから、日本語入力ができない。そのうち、私のパソコンの1台も娘に占領されそうな気がする。

 

夜、ニュースを見ていたら、なんと原油価格がマイナスになっていた。

www.repubblica.it

経済に疎い私も、口あんぐり。

原油を買う(っていうのかな)と、お金をもらえるってこと?

まったく、とんでもない時代がやってきたものだ。原油価格がマイナス…。原油が、水より安くなるとは。

 

小人の私は閑居して、井戸の中の蛙みたいにのんびりしているけど、外出制限が説かれてからの世界で生きていく覚悟も決めなくてはとどやされた気分だ。実感はわかないけれど、きっと天と地がひっくり返るくらいのインパクトで、世の中は変わってしまっているのだろう。

イタリアは再スタートに向けて浮足立っているけれど、毎日感染者と死亡者は確実に存在している。減ってきたとはいえ、日本とは比べものにならないレベルの被害を受け続けている。そのことを、忘れてはいけないと思う。