イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

ピクニック、毛虫にはばまれる

5月24日(日)

封鎖が緩和されて初めての週末、人がいない場所にピクニックでも行こうかという話になった。

親しい友人家族に声をかけたところ、ぜひ行きたいけど昼食が心配だからラザニアを焼いていくという。我が家は、昨夜夫が仕込んだクロスタータを今朝焼いて、向かった先は廃墟となった町モンテラーノ。数年前にピクニックをした時は、1組のカップルとであっただけで閑散としていた場所だ。

しかし、考えは甘かった。

2カ月の余も家に籠ってストレスをためていたイタリア人たちは、今日は蜘蛛の子を散らしたかのような勢いで外に出てきた。モンテラーノも、かつての静けさが信じられないくらい駐車場は満車。

それでも、だだっ広いモンテラーノだ。ソーシャルディスタンスを保ってピクニックをするのは難しくないだろうと廃墟に向けて歩き始めたところ、小道の入り口に人がたかっている。これはまずい、と離れようとしたところ、そのうちの1人が

「この先の道、雨が降るみたいに毛虫が落ちてくるよ。地面も、毛虫の絨毯みたいになってる!」

と言うではないか。

それだけで腰が引けて、大急ぎで駐車場に引き返した。たまたまいた地元の人に聞いてみたところ、

「あと15日くらいは、風が吹けば毛虫が落ちてくるシーズンだよ」

なんて言う。

ラザニアとクロスタータをどこで食べようかと揉めたのだけど、近くのブラチャーノ湖だって人であふれかえっているに違いない。密になるのは避けねばならぬ。しかも、毛虫だってあっちこっちにいる可能性がある。

というわけで、潔く家に戻ることにした。

2時近くになって友人の家に着き、ベランダでラザニアとクロスタータを食べておしゃべりをして過ごしたのである。

友人の訪問は問題ない。しかし、友人の家で食事をするのはフェーズ2のルールで禁止されていただろうか? 

しかし、久々に会ってもハグもキスもしないのだから、本当にイタリアは変わったなあと実感した。

途中で寄ったバールでも、人々は暑さの中マスクをし1mの距離を置いて並んでいる。プラスチックのカップに入れられるコーヒーは本当に味気ない。バールもレストランも、かきいれ時だというのに3分の1くらいはシャッターを下ろしたままだ。だから、必然的に開いているバールは混みあっている。

現状の厳しさは、今日みたいに外に出るとひしひしと伝わってくる。暗澹とした思いはあるけれど、久々に会って友人家族とおしゃべりするのはやはり楽しかった。封鎖中に作った料理の話、子どもたちのオンライン授業の話、封鎖中に食べ過ぎてダイエットを始めた話(封鎖当初はやたらにいろいろ食べて、あげくダイエットに移行するというのはどこの家も同じらしい)、エトセトラエトセトラ。

山の空気とは違うローマの太陽の洗礼を受けて、今日は心地よき疲労感。明朗とはいかなくても少し前向きになった心持ち、しばらく続いてほしいなあと思う日曜の夜である。