イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

オンライン授業、はじまる

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数年前の誕生日に見た、夜のローマ

 

3月23日(月)

新しい一週間が始まった。

今日から、国語の先生が生徒を数人ずつに分けてオンライン授業をすると伝えてきた。何しろ、休校措置が急であったため、子どもたちはみな教科書もノートも学校に置きっぱなしなのだ。クラス代表の夫を通して、先生から送られてきた教科書や問題をダウンロードして宿題や課題をこなしてきた。

オンライン授業で顔を合わせた先生も子どもたちも、みんな大喜びしてはしゃいでいた。子どもたちの後ろからは、授業が気になって仕方がないママたちも茶々を入れる声が聞こえてくる。

わずか1時間強の授業ではあったけれど、授業参観がないイタリアではこんな経験もめったにあるものではない。なにげなく聞いていたのだけど、みんな楽しそうで私も幸福感に包まれた。

娘はオンライン授業、夫はオンライン会議で、あっちからもこっちからもイタリア人特有の大声が聞こえてくるものだから、私は狭い家の中で居場所の確保に難儀した。

 

夕方、夫が封鎖後3回目の買い物に出かける。

以前は、混雑を避けて真夜中の1時過ぎに買い物に行っていたのだが、スーパーの営業時間も従業員の健康を考慮して短縮されたために、夕方5時半過ぎに出かけて行った。

帰ってきたのは7時少し前くらい。入店するためにわずかな列はあったけれど、不足している品目はまったくなかったそうだ。

果物や野菜のストックがあると思うだけで、心が豊かになってくる。

 

イタリアにおいて感染拡大がはじまった当初、なにかイタリアに落ち度があるためにこのようなことが起ったのだ、という思いに人々は暗い想いを抱いていたのではないだろうか。

しかし、コロナウィルスは結局、いかなる差別もなくあらゆる国を襲っている。

コンテ首相は、さまざまな政策を打ち出すために「イタリアは、今後感染が拡大するかもしれない国々の規範とならなくてはならない」と言っていた。実際、北部を封鎖、イタリア全土を封鎖、バールやレストラン閉店、不要不急の店以外はすべてクローズ、製造業もストップと段階を踏んできたことで、イタリア人はそれぞれの政策や今ある状況を納得し受け入れてこれたのだと思う。

実際、数日前の会見で首相は「ここ数日はキツいだろう」と言っていたので、夕方6時に発表される数字は衝撃的なことが多かったけれど、だしぬけの事象ではなかった。

いっそ、すがすがしいほど厳しい状況も数字も国民にさらけ出し、だから政策に責任もって協力しろというのだから、理に適っていると私は納得している。

そして、本日もわずかながら前日を下回る数字となった。急激な低下ではないから、予測通りピークはまだ先なのかもしれない。油断はしてはいけない。そして、経済への打撃や不意に大事な人を失った人々の傷も、われわれは今後背負っていかなくてはいけない。

朗報もいくつかある。ドイツでは6人のイタリア人患者を受け入れてくれたうえ、各国からの支援も届いている。ロシアから送られてきたという超強力な消毒用の車は、ソーシャル上でも話題になっていた。

 

多かれ少なかれ、国民一人一人に犠牲を強いて難局を乗り越えようとしているイタリアをはじめとする各国の様子を見ていると、先はまだ長いなという思いを深くする。