イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

イタリア封鎖の日々 最終章

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5月15日(金)

昨日は、娘を歯医者に連れて行った。彼女は矯正をしているので、そのチェックである。前日にいきなり電話がかかってきて、否も応もなく予約を入れられてしまったのである。

歯医者は、当然のことながら待合室では待つことができない。外で待ち、順番が来ると娘だけ中へ。入り口に機械が置いてあり、足を乗せると靴がビニールでカバーされる。

手を消毒して中に入った娘は、15分ほどですぐに出てきた。同じく歯科医をしている弟に思いをはせる。彼もきっと、ピリピリしているに違いないと思う。

 

今日は、やたらに忙しい1日だった。

予想もしていなかった仕事がごっそり戻ってきて要修正、今日予定していた仕事は大幅にずれ込んでしまった。

娘は、今日は午前も午後もオンラインで忙しかったため、文字通りほったらかしである。

お昼ご飯を食べるのももどかしく、仕事に没頭。

夕方、昨日仕込んでおいた生地でピッツァを作ると夫が言い出した。仕事がひと段落していた私と娘は、足りなくなりそうな生ハムを買いに近所の豚肉専門店へ。

ローマのボンチが使う小麦粉をピエモンテから取り寄せ、原材料だけは超一流を揃えたものの、我が家はピッツァは初体験。そう、封鎖も終わりになって、人々がすでにプロ級になっている粉ものに挑戦しているのだから恥ずかしい。

 

昨日仕込んでおいた生地をいじっていた夫は、「失敗するピッツァ12か条」をいう記事の項目を全部網羅している、最低最悪のピッツァができそうだと悲観的。

ま、初めてだし失敗でもいいじゃん、だめならトッピング用に買ったチーズや生ハムを食べればいいんだし、と私。私はピッツァはあまり好きではないので、はっきり言ってそれほど期待していない。

絶対失敗することを確信し、1枚目はトッピングなしのフォッカッチャを作る。これが、意外と悪くない。

2枚目は、じゃがいもとチーズ。3枚目はマルゲリータ

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初めてにしては、まあまあの満足度。

技術がいたらなくても、材料さえ良いものを揃えればなんとかなるんじゃないの?っていうのが結論である。

 

ピッツァを食べながら、暮れてゆく西の空を眺める。

もうすぐ、この封鎖も終わる。ローマの町ではすでに封鎖は解除されたに等しいところもあるらしい。今日電話をかけてきた友人によれば、ローマでは子供たちはもう公園で遊びまわっているとのことだった。私たちにも、「ローマに降りておいでよ。一緒に遊ぼうよ」とお誘いをかけてくれたのだが、ヘンなところで神経質な夫は、「でも、封鎖が公式に終わるのは月曜日からだから」と断った。せっかくここまで頑張ったのだ。あと2日くらい、きっちりと首相令を守ることに私も賛成だ(ただの出不精なのだけど)。

 

封鎖が終わり州のあいだも行ったり来たりできるようになれば、夫の出張もある程度は可能になるかもしれない。しかし、しばらくは在宅での仕事を続けるという。

娘も学校は9月からと決まったから、オンライン授業であることも変わらない。散策や姑との行き来は元に戻るだろうけれど、我が家の暮らしはそれほど大きく変わりそうにない。

 

今日、買い物に行ってであった町の人たちも、「いや~、ほんとに長かったね、この封鎖は」と声を揃えていた。ちなみに、本日も死者の数は200人超。不安は尽きない。

マスクと消毒液を道連れに、イタリアは通常の生活に戻ろうとしている。