イタ飯百珍

イタリアが「他国に負けない!」と気を吐いているもの、それが「食」!最近は備忘録。

およそ70日の封鎖終了

5月17日(日)

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今日で、69日に及んだ全土封鎖が終わる。

昨日は、山の町も初夏の陽気となった。今日の日曜日は、姑の家を訪れたけど、ローマはもう夏のような暑さだった。

母の日に姑に贈ったアジサイを庭に植え替えるために、途中で花屋さんに寄って土を購入。花屋さんは、たいそう込み合っていた。高速道路はまだ空いていたけれど、明日からは渋滞も始まって日常が戻ってくるのだろう。

最近はベジタリアンと化している姑が用意してくれていたのは、ひよこ豆とパスタ。

食後に庭仕事をし、ジェラートを食べに行くとすでに長蛇の列。

入り口にある番号を取り、順番が来たら1人だけ入店できる。家族で訪れても、店に入ることができるのは1人だけだ。アイスを乗せるコーンもだめ、上に乗せるパンナもなし、お持ち帰り用の箱かカップのみの販売で、カップも人数分をまとめて袋に入れて1人に渡すという方法をとっていた。

お店の人はピリピリしているし、こちらは勝手がわからずウロウロ。せっかくのジェラートを楽しむという気分も削がれてしまう。

 

暗中模索、試行錯誤。

コロナの感染拡大に影響を受けていない人などいないのだから、明日からは手探りで前に進むことになるのだと思う。

長い人生を思えば、たかだか69日のことなのかもしれない。でも、その69日のあいだに世界は大きく変わらざるを得なかった。良くも悪くも個人主義のイタリア人が、夏のような気温の中でもマスクをし、順番を守って列を作る。2か月以上にわたって、死者や感染数の残酷な数字を見せつけられて、イタリア人も生活を根底から覆されてしまった。

むしろ、ある程度自由がある明日からのほうが、人間の忍耐や知力を試されるフェーズとなるのかもしれない。これまでは感染者数が断然少なかったモリーゼとウンブリアで、ここ数日感染者が増えているというニュースもある。

夕方、娘のクラスのママからクラスのチャットにメッセージが入った。彼女は、麻酔科医である。

「封鎖最終日の今日も、ラツィオ州では50人の陽性患者が出ている。この数字は、家族や集まりを通じて簡単にクラスターを生み出す土壌となる。だから、明日からも油断をしないでほしい」。

医師として現場にいる人間からのメッセージである。私も、心してそのメッセージを読んだ。

実家の母は、最近はお弁当を購入することが多いらしい。お店が開けない業者さんたちが、あちこちでお弁当を売っている。経済も回さなくちゃ、と買ってはみたものの、母もそれほど動くことがないからお弁当は少し重かったようだ。お腹の調子がイマイチでおかゆを食べてるわ、と語っていた。

その母に頼まれて、いつものサイトでコーヒーを買おうとしたら、軒並み品切れ。

コロナの影響で、輸入品にも影響が出ているのかもしれない。

個々の事情なんてなぎ倒してしまうような大波に襲われたこの2カ月。

その最後の夜、平和に過ごした日々の名残を惜しんでいる。