いちごのジャムの香りの中で黙考(愚痴全開)
5月22日(金)
昨日は、姑がやってきた。
姑は夫に伝えてあったようだけど、私に言うのを忘れていたらしい。昨日は、夫が会社で今日の大学の授業のためのプリントアウトをして、そのまま日本人学校に向かって教科書をもらってきた。家族で出かけて、帰ってきて3人が三様に仕事を始めたとたんに姑がやってきたのだ。
というわけで、私はすっかりリズムが狂ってしまった。姑が来るのなら、お夕飯の支度だってそれなりに考えなくてはいけない。面倒だからお肉屋さんにでも行って…と思ってハタと気がついた。最近、姑はいベジタリアン生活をしているのだ。そうだ、モッツァレラがあると思ったら、あれもラクトースが何かが体に悪いから食べないときた。もう私の手には負えない。夕飯は夫に任せよう。
娘は出かけたくないといっているのに、子どもは外に遊びに行かなくては駄目だと無理やり連れだして、あろうことかフラスカーティの町にアイスを食べに行こうという。夫は仕事に没頭していて相手にしてくれないから、結局私が姑のお守りをすることになる。
私は、人込みにはまだ行きたくない。娘も行かせたくない。姑は、本当にあなたたちは大げさなんだから、とかなんとか言って、フラスカーティ行きを決行。怖れたとおり、晴天のフラスカーティには人があふれている。娘はアイスなんていらない、といって本屋に入っていった。「神話 ( Miti dal cielo alla terra ) 」という本を見つけて買ってほしいとおねだり。本を買うのはけちけちしない私はさっさと買って、さあ帰りましょうといったのだけど、姑は承知せず。意味もなくふらふらするなら、人通りなんかない自宅がある町のほうがよっぽどいい。
あいにくなことに、娘が1歳になった頃から靴を買っていたお店も、このコロナ禍で閉店。フラスカーティに来る唯一の理由もなくなってしまった。
公園に行っても遊具は遊べないようになっているし、結局本当に無駄に人ごみに行って帰ってきた感じ。イライラが収まらず、夕飯は本当に夫に用意してもらった。彼が作ったのは、玉ねぎとにんじんとセロリを下ろしてトマトソースで煮たパスタ。
それでも、ムカムカがおさまらない。娘と二人でお風呂に入り、本をもってさっさとベッドへ。
それが昨日の話。
今日は今日で、夫が大学で講義をする日だ。というわけで、朝から私は仕事は放擲した。今日は仕事はしないで、のんびり過ごそう。夫は講義の準備がある。娘はオンラインの授業だ。私も仕事をして3人でそれぞれの世界に入ってしまうと、他人との摩擦を起こしやすいのだ。だから今日は、自分の仕事はやめて家族のために過ごそうと決めた。
夫が講義をしているあいだは音を立てられないからアイロンをかけて、午後はやっと衣替え。せっかく買ってきたのに美味しくなかったいちごはジャムに。夫をおだてて、このジャムでクロスタータを作らせよう。
仕事のメールはチェックしたけど、仕事をまったくしなかったのは久々だった。
甘いいちごのジャムの匂いの中で、日を浴びながら本を読んでいたらやっと昨日のイライラを忘れられた気がする。夫も無事に講義が終わったから、少しは落ち着くだろうし。
かつては、姑とは良好な関係だった。なんとなくぎくしゃくし始めたのは、相手も年を取り、私も柔軟性をなくしているからだろうとは思う。私は父親似で、とにかく事なかれ主義なのだ。争いごとが大嫌いなのだ。だから、理屈が通らないなと思うことでも、かなり我慢強く相手の言うことには従う。夫は周期的にこの姑と大喧嘩をし、音信不通状態がしばらく続くのである。それが人ごとに思えるほどに、私はかつては姑に腹を立てることは少なかった。最近は、その我慢ができなくなってきた。自分が年を取ったなあと思うのは、そんな時である。これからは、こんなことがどんどん増えるのだろう。
年を取るのは本当に大変なことだと、口にはできぬ愚痴はため息になる。
今日は金曜日の夜だ。愚痴はこの辺にして、イングルサイドのアンのところに逃げ込もう。
おやすみなさい。